ハリルホジッチ監督の首がかかった、イラク(H)とオーストラリア(A)との2連戦。
ホームでイラクと戦った日本は、後半のアディショナルタイムに、途中出場のMF山口螢のゴールが生まれ、勝ち点1から勝ち点3を手にすることができました。
前半に先制しながら、後半に追いつかれた日本は、ホームゲームでありながら相変わらずミスは多く不安定な試合を展開。
危機的なチーム状況の中、背番号10香川真司を外したハリルホジッチ監督でしたが、ゲームの主導権を握ったとは言えないゲームでした。
そんなチームの守備を整えるために後半途中に投入された山口螢が、劇的な幕切れとなる逆転ゴールを決めた事で、ハリルホジッチ監督の首が一先ず繋がりました。
しかし、次のアウエーで行なわれるオーストラリア戦の結果と内容によっては、監督更迭の可能性は高いと言わざるえません。
山口の「入ってしまった」コメント、出来れば別の言葉が欲しかった
イラクとの一戦で一躍ヒーローとなった山口螢でしたが、試合後のコメントでこのような言葉を残しています。
途中から入ったので何か仕事しなければいけないと思っていた。それが最後結果につながった。いつもならふかしてしまうところが、なんか入ってしまって、本当にホッとしています。
まさに偽らざる本音でしょう。
しかも、この日は自身の誕生日。
こみ上げる嬉しさを抑えつつ発したコメントとも受け取れます。
ただ、逆にその発言から感じるのは、今の日本代表に対する不安材料とも思えました。
「なんか入ってしまった」という冗談っぽく語ったことがまさにそれです。
劇的な逆転勝ちで勝ち点3をチームが手にした喜びは理解できますが、まだまだ厳しい戦いが控える中、山口が発すべき言葉はこうあるべきだったのではないでしょうか・・・。
「チャンスがあれば自分が絶対に決めてやるって思ってましたので、狙い通りのシュートを決められました。」
ウソでもこういってほしかった。
なぜなら、まぐれでゴールを決める選手より、常にチャンスを伺ってる選手の方が相手にとっては警戒すべき相手だから。
守備的なポジションの山口とは言え、ゴールを伺う姿勢が試合中に常にあると相手が受け取れば、それだけプレッシャーをかけることができます。
日本代表には、中盤の守備的な位置に、常にゴールを伺っている選手がいるというイメージをライバル達に植え付けてほしかった。
そんな風に感じました。
実際には、まさかの劇的ゴールだったとしてもです。
あの試合展開ですから、込み上げる感情があったのでしょうから致し方ありませんが、今後の戦いを踏まえたらと、ふと思った次第です。
改めて感じる気分屋の日本代表選手達への不安
今回の山口螢の発言から改めて感じたのは、日本代表選手達のメンタルへの不安です。
ガチ勝負のワールドカップ予選でも、親善試合などでもそうなのですが、勝つと調子に乗り、負けると一気に崩れるという問題。
買って調子に乗るのも、勢いがつくという意味であれば良いのですが、日本代表の場合、お調子者的な意味合いの「調子に乗る」になってしまうのが問題です。
そのため、相手の思わぬ攻撃にうろたえ、不注意からのミスや試合そのものを失うような展開になる傾向があります。
このあたりは、技術的な問題以前にメンタルの問題かと。
思い返せば、前回のブラジルでのワールドカップでの事。
本大会前には、本田や長友が、優勝を狙えるとまで口にしていましたが、結果はグループリーグで1勝も出来ずに敗退。
大きく期待を裏切る結果となりました。
その後も、親善試合で大勝などをするとリップサービスが飛び出すくらい調子に乗りますが、ガチの試合になると一気に崩れる展開がお約束・・・。
これでは、厳しい戦いを勝ち抜くには不安が大きすぎます。
永らく主要メンバーが固定されている日本代表ですが、世代交代が押し進められなかった事が悔やまれます。
本田や香川といった選手を追い出すくらいの若手が次々出てこなければ、チームは強くなれません。
そういった競争という危機感も希薄な今の日本代表には、アジアのライバルや世界の強豪国と比べた時に、メンタル面での弱さは気分屋といった印象はどうしても感じてしまいます。
次戦、アウェイでのグループ最大のライバル、オーストラリアとの一戦は、まさにそのメンタルが試される一戦と言えますので、ハリルホジッチ監督の采配と共に注目したいところです。