ワールドカップロシア大会出場を懸けたアジア最終予選、ホームに難敵サウジアラビアを迎えたハリルジャパンでしたが、勝ち点3を手にしグループ2位に浮上しました。
勝ち点3以外は許されないゲームを制したのは進退問題で揺れるハリルホジッチ監督にとっても大きな1勝でした。
このゲームでは、これまで日本代表の王様として君臨してきた本田圭佑を先発から外し、若い久保を選択したハリルホジッチ。
1トップには所属クラブでの活躍が認められ久々に代表に復帰した大迫が入るという形になり、まさに世代交代の匂いを最終予選の折り返し地点で、ようやく結果を伴う形でみせる事となりました。
そんな中、所属するACミランではほぼ戦力外となってしまった本田圭佑の言動に注目が集まってしまいました。
ハリルホジッチと本田、指揮官はどっちかハッキリさせるべき
(出典:http://www.daily.co.jp/soccer/2016/09/01/0009447412.shtml?ph=1)
本田圭佑と言えば、2010年の南アフリカ大会から代表に定着し、これまで日本代表の中心として活躍してきました。
しかし、今回のアジア予選では、クラブでの扱いや年齢的な事もあり、体力的にも試合勘といった部分でも、到底チームの中心に据えるだけのコンディションとは言い難いものになっていました。
そこについては背番号10を背負う香川も同様です。
重要な一戦であるサウジアラビアとの一戦では、この両者がベンチスタートというのは、日本代表の世代交代への扉が本当の意味で開いたとなるのか誰しも気になるところです。
それでなくても「歯に衣着せぬ」発言で、代表でもクラブでも物議を醸してきた「王様」本田圭佑。
自身や周りを鼓舞する意味があるとしても、ここのところは「言うだけ番長」と言われても致し方ない状況にあります。
先発落ちしたサウジ戦終了後には、いつもの饒舌は鳴りを潜め、報道陣を遮るように足早にその場を去りました。
ハリルホジッチと本田圭佑の「不仲説」が囁かれるなか、本田はメディアに対し、「自分が代表にふさわしい選手か、そうでないかは自分で判断できる」とまで口にし、まるで自らが指揮官かのような発言を行ないました。
それでなくても、代表チームではこれまでにもそのような言動はありましたが、選手がピッチ上で監督の采配はあるとしても試合の状況に応じて自分たちの意思でゲームを動かす事はあってしかるべきなので本田の言動も合点がいきます。
しかし、その戦術にまであれは嫌だこうがいいといった発言を繰り返すのは良し悪し。
そもそもチームは監督の方針が大前提としてあり、その中でいかに選手が光る事が出来る様にしていくかがまず基本。
頭から自分たちはこういうサッカーが合うから嫌だでは話になりません。
今回のアジア最終予選中に、今後の処遇によっては代表引退の可能性もあるとの報道も出ている本田圭佑。
かつて自身が当時の背番号10中村俊輔に引導を叩き付けた事が、今まさに自分の身に降りかかろうとしている時と言えます。
果たして、本田はここからどう巻き返すのか?
それとも、世代交代を真摯に受け止めるのか?
今冬の移籍市場も含め注目です。
海外組であっても試合に出ていなければ立ち位置が変る
(出典:http://www.sankei.com/photo/photojournal/news/161114/jnl1611140003-n1.html)
ハリルホジッチ監督は、かねてから「試合に出ているものを使う」という考えを口にしていましたが、これまでは代表で実績があり中心選手であった、本田や香川、キャプテンの長谷部などは所属クラブで試合出場が激減していても重要視していたのもまた事実。
しかし、自身の進退問題や代表チームのパワーダウンなどもあり、改めて世世代交代とは別に試合に出ているか否かを重要視する考えを強調しました。
「俺が代表から外される理由がない」と強がった本田圭佑でしたが、監督からすれば、これが外す理由となり得る事が明確となったとも言えます。
そして、現所属クラブで出場が厳しければクラブを移籍してでもスタメンの座を勝ち取るようにメッセージを放ったハリルホジッチ。
この発言に対して、本田や香川を始めとする複数の選手がどう応えるのか?
これまで代表の中心として君臨してきたメンバーにとっては現実を直視しなければならない時がきています。
日本代表の強化と世代交代への足かせは協会とスポンサー?
(出典:http://www.gimix-web.jp/wordpress/?p=536)
自身の首が危ういこともあり、ある意味開き直りのスイッチが入った感じのハリルホジッチ監督。
ここまで苦悩する代表監督の影に日本サッカー協会とスポンサーの存在があるようにしてなりません。
かねてから日本代表の強化よりも収益優先の体質や責任逃れの言動が批判の的となっていた日本サッカー協会はや某ビックスポンサーは、事あるごとに選手選考や試合でピッチに立つ選手について口を挟んできたた思われます。
スポンサー問題については今に始まったことでもなく、海外でも実際に起こっている事として、スポンサーが背番号10を誰につけさせるのか?
そしてどの選手を代表に招集するのか?
こういった事に口を突っ込み、監督の意向を無視するというのは日常茶飯事です。
あくまで噂レベルと言ってしまえばそれまでですが、そういった事が巨額のお金が動くサッカー界では実際に起こっていることです。
怖いのはこういったピッチ外からの声で、世代交代の遅れやチームの強化が進まないこと。
本来であれば、代表チームは日本に終結してホームゲームで同等レベルやそれより落ちる国と親善試合なのか練習試合なのか分からないような試合を積み重ねるよりも、欧州や南米に出向いてい強豪国と肌を合わせる方が大きな意味があります。
しかし、チケット、グッズ収入、テレビ放映などの絡みもあり、協会としては出来るだけ日本代表がサポーターの前で快勝する姿を見せたいというのがあります。
このジレンマが続く限りは大きな変化はないのかもしれません。
本当に日本が世界と勝負できるようになる事が、結果的に日本国内のサッカー熱を高める事にも繋がるように思えてならないのです。
同時に、Jリーグのレベルアップのためには、世界に向けてJのコンテンツを送り出しその対価として収益を増やし、クラブに還元することで海外から高いレベルの選手達を取り入れられるような環境を作る必要があります。
こちらについては、そういった動きが幸いにも出始めていると思われますが、ピッチ外の体質改善は絶対に避けられない事です。
ブラジルでの悪夢から脱するにはまだまだ厳しい道のりが続く事になると言えますが、ロシア大会出場はもちろんの事、ワールドカップの決勝トーナメントで世界に爪痕をしっかり残せるチーム作りを願いたいと思います。