ドイツのフランクフルト所属のMF、乾貴士がスペインのエイバルへ移籍することが正式に決定しました。
リーガエスパニョーラのSDエイバルが公式に発表し契約期間は3年とのことです。
乾貴士自身も、Twitterで移籍決定をファンに報告し、夢であったスペインでサッカーが出来ることを喜ぶ様子が伺えました。
<乾貴士プロフィール>
乾貴士(いぬいたかし)
1988年6月2日生まれの27歳
出身地:滋賀県
身長:169センチ 体重:63キロ
ポジション:MF FW 右利き
所属チーム遍歴
横浜マリノス→VfLボーフム→フランクフルト→SDエイバル
今回のエイバル移籍は、乾貴士自身の希望と、フランクフルトとの契約が後1年の残っており、移籍金が発生することもあり、交渉がまとまったと見られます。(移籍金は非公開)
乾貴士は、Twitterでこうもコメントしています。
「エイバルのためにしっかり結果を残せるように頑張っていきます。」と。
この結果を出す事が、これまでスペインのリーガエスパニョーラに挑戦した日本人選手が実現できなかったことなのです。
日本人が存在感を示せないスペインサッカー
これまでにも複数の日本人選手がスペインの地へ降り立ちましたが、リーガエスパニョーラで結果を出した選手は一人もいないと言って良いでしょう・・・。
これまで欧州では、イタリアのセリエAやドイツのブンデスリーガで多くの日本人が結果を出してきています。
イングランドプレミアリーグは、上記2リーグ程のインパクトはまだないものの、これまでに中田英寿、香川真司、そして、現在は吉田麻也、そして今季からは岡崎慎司がプレミアリーグへ参戦し、チームで存在感を示しています。
欧州主要リーグで活躍する日本人が輩出される中、どうしても存在感が示せないのがスペインなのです・・・。
日本人10数名が挑戦してきたスペインサッカーだが
これまでにスペインリーガエスパニョーラに挑戦した日本人には、城彰二、中村俊輔、森本貴幸、家長昭博などを始め、10数名の選手がチャレンジしています。
直近では、昨シーズン、コルドバへと移籍したハーフナー・マイクが記憶に新しいところですが、シーズン序盤でのチャンスを物に出来ず、そのままベンチorベンチ外へと追いやられ、結局チームを離れることとなりました。
これまでにスペインでしっかり印象を残せる様なプレーをした日本人選手は皆無と言ってもよいリーガエスパニョーラ。
その難しさとはどこにあるのでしょうか?
スペインサッカーの特徴にハマれない日本選手
スペインでは、下位に位置するチーム程、守備を重視しカウンターを狙うのが一般的です。
華麗なボール回しで攻撃的サッカーのイメージのリーガエスパニョーラですが、それは、バルサやレアルのイメージが強すぎるに他なりません。
そのため好守の切り替えスピードが常に求められ、前線に飛び込んでいく、そして守備と、動きだしの速さやポジショニングが当然のことながら重要視されます。
多くの日本人は、そこに戸惑うのか?ピッチでスムーズに周り選手と連動出来ないケースが目立つということがあります。
このあたりは、スペインサッカー独特の間合いというリズムもあるのでしょう。
加えて、この地では、気迫や感情を時にむき出しにしてサッカーをすることが監督のお眼鏡に叶う印象も強いと言えます。
そもそも日本人は、普段あまり感情を表に出さない民族でもあります。
そのあたりのお国柄的な事も、実は無関係ではないと思われます。
そして、最低限必要とされるのが、言葉の壁をクリアにする事です。
スペインは他の欧州リーグ以上に、言葉でのコミュニケーションを重視している傾向があります。
そのため、言葉がわからない、通訳を介さないと話せないでは、いつまでも存在感を示すことが出来ない状況に陥りやすい傾向にあります。
多くの場合は、これらの理由が重なって、次第にチーム内での存在感が薄まっていくのではないでしょうか・・・。
乾貴士はスペインで輝けるか?日本人鬼門の地での活躍を期待
乾貴士はドリブルを得意とする印象が強い選手と言えます。
そのプレースタイルと体格的なところから、バルセロナのメッシを引き合いに出されることもありますが、瞬間的なスピードやボールタッチにおいて、さすがにメッシの域には達していないというのが正直なところです。
しかし、それでも、乾貴士の狭いエリアでの足元でのボールさばきは、スペインでも十分に通用するレベルであることは間違いないでしょう。
乾貴士のトラップの技術やボールを受けた直後の動きだしなどは、欧州のレベルに達していると言っても差し支えないと思われますし、ドイツでは、「香川2世」と称されるのも理解できます。
しかし、短所として、得点力がそれほど高くないという事があります。
シュートにムラがあるというか、ゴールまでのプレーの質にいささか不安が見受けられる事は、ドイツでも指摘されました。
移籍先のエイバルでは、サイドハーフでの起用が見込まれますが、報道では控えでのスタートが濃厚と見られています。
技術的には高いレベルにあり、欧州でのプレー経験もあるため、後はどれだけ監督にアピール出来るかどうかですが、チームにスムーズにとけ込むことが出来なければ、そう簡単にはポジションは取れないように思われます。
いっそ、本田圭祐くらい「俺が俺が」でいくことが、乾貴士には必要かもしれません。
リーガエスパニョーラにおいて、エイバルは下位チームであり、昨季18位に終わり、降格圏内でありながら、13位のエルチェが経営面での問題によって2部に降格となり、奇跡的に1部に残留しています。
今シーズンも厳しい戦いが予想されるエイバルでは、守備力も求められ、カウンター攻撃を仕掛ける運動量が必要とされます。
得意のドリブルプラスαが求められる環境で、乾貴士がどのようにしてポジションを争いを勝ち抜くのか期待したいところです。
そして、スペインで結果を出す初めての日本人選手になってくれれば最高なのですが・・・。