欧州の冬期移籍市場がスタートした事で、日本人選手の動向にも大きな注目が集まりますが、今シーズンは、イタリアでは本田、長友がレギュラーに定着できない中、ドイツでもドルトムントの香川が、相思相愛であったクロップ監督が去った影響や戦力補強などもあり、ベンチを温める日が増えています。
昨年、誰もが想像しなかったレスターのプレミアリーグ制覇に貢献した岡崎慎司も微妙な立ち位置となっています。
日本代表組のベテラン勢の中では、新天地フランクフルトで長谷部誠が存在感をそれなりに示す良い傾向はあるものの、海外組においては、大迫勇也、原口元気、酒井宏樹といった今後の日本代表の中心となるべき世代が躍進している印象です。
世代交代という意味では自然な流れとも言えますが、そんな中、ハリルホジッチ体制ではまだまだ微妙な立ち位置とも言える、鹿島アントラーズの柴崎岳と横浜Fマリノスの齋藤学の冬の移籍には注目したいところです。
チーム内での存在感は抜群も欧州クラブでポジションは得られるのか?
シーズンオフに入ってるJリーグの中で、特に海外志向が強いとされる柴崎岳と齋藤学。
柴崎岳と言えば、クラブワールドカップでのレアルからの2ゴールで一躍世界に知られる存在となりました。
斎藤学は「和製メッシ」と評されるキレキレのドリブルが持ち味です。
一般的に冬の移籍市場については、各クラブとも、チーム状態などの問題に応じてピンポイントでのテコ入れが多くなるため、シーズン開幕前の夏の移籍市場の方がよりフラット条件で交渉出来るという見方があります。
そのため、冬の移籍は契約金額を始め条件面で難しい交渉を迫られる可能性は高くなります。
ただその反面、補強したいポイントがハマればレギュラーポジションを獲得できるチャンスは広がります。
そもそも、欧州で活躍する日本人が増えたとは言え、まだまだ欧州各国においてその存在が重要視されているとは言い切れないのが実情です。
レギュラー争いの中で、少なからずハンデを背負った状態でスターとさせられる事は往々にしてあります。
そういった見方をすれば、冬期の移籍市場でクラブ側が求める条件に合致すれば、チャンスは高まるようにも思えます。
交渉次第ではありますが、欧州のクラブでポジションを得るチャンスはあるとは言えます。
懸念される柴崎の立ち位置、タレント豊富な中盤のポジションがネックか?
(出典:http://rockchan.space/shibazakigaku/)
サイドアタッカーとして、だけでなく守備での貢献やパサーとしても成長した斎藤学については、移籍先によっては、かなりチームの重要な選手となり得るのでははないかと思われます。
金銭的な条件よりもポジションを優先すれば、早期のレギュラーも可能な力はあると言って良いでしょう。
気になるのは柴崎岳です。
確かに、クラブワールドカップでのスター軍団レアルマドリードから2ゴールを挙げ、チーム自体も最強クラブを後一歩まで追いつめた事は日本人として強烈なインパクトを生みました。
しかし、気がかりは柴崎岳のポジション。
トップ下であることにあります。
レアル戦で2つのゴールを生み出したとは言え、基本的にスピードで勝負したり、好守に広くチームを操るというところまでの力を見せてはいません。
あくまでトップ下からのパス供給や前へ飛び出していくといったところになります。
しかしながら、このポジションは欧州ではあまりにもタレントが多すぎます。
しかも、好守の切り替えのスピードを要求される現代サッカーでは、守備力も重要視されます。
例えるならば、トップ下でもレアルのモドリッチのようにボランチでも力を発揮できる選手は重宝されると言って良いでしょう。
今の柴崎岳には欧州においてそこまでのプレーは望めないというのが正直なところです。
そうなると、欧州では移籍先が見つけ辛いという事があるのではないでしょうか。
ピンポイントでトップ下の補強が急務なクラブがあれば良いのですが、少なくとも柴崎自身が希望するとされるスペインでは該当するクラブがこの冬は見当たらないようにも思えます。
スペインに限定せず見て行けば、万年下位よりのクラブや降格争いを行なっているクラブなどではレギュラーを狙えるかもしれませんが、そこまで条件を絞り込んで海外に飛び出して行くとも思えません。
おそらく、柴崎岳の中では高いレベルでの競争、戦いは望むところだと察します。
となれば、条件を大きく落としてまでレギュラーを取りに行くよりも、競争覚悟でスペインやドイツの中堅クラブあたりが現実的な移籍交渉先となるでしょう。
そうなると、先程の冬の移籍市場ならではの事情が懸念されるだけに、もしかしたら来年の夏まで移籍はお預けという事も十分にあり得るのかもしれません。
いずれにしても、現在欧州で活躍する若手や柴崎岳、斎藤学といった選手が日本代表を牽引する存在に早々になっていかなければ、今後の日本サッカーに明る兆しが見えてこない事になりますので、そういった意味も含め、欧州移籍が良い形で実現することを願いたいと思います。
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