6月7日に行なわれたサッカー日本代表の「キリンカップ2016」決勝戦、ボスニア・ヘルツェゴビナとの一戦。
日本は、前半、MF宇佐美の突破から清武のゴールで先制するも、その1分後に失点という絶対にやってはいけないタイミングでボスニア・ヘルツェゴビナに同点ゴールを許しました。
そして後半に入ると、逆転を許し、再三相手のゴールに迫りながらも、最後まで得点を奪えずホームで欧州との力の差を改めて感じることとなりました。
前半の先制点を挙げた直後の失点は、本当にいただけません。
このあたりは、全く覇気のなかったブルガリア戦で完勝したことで、気が緩んでいた部分があったまま試合に入り、しかも先制したことで、直後に集中力を欠いていたようにも思えました。
ブルガリア戦での「アモーレ」なお祭りムードは一転、9月から始まるワールドカップロシア大会のアジア最終予選での仮想オーストラリア戦と位置づけられたボスニア・ヘルツェゴビナ戦は課題が多いものになってしまいました。
サブ中心のボスニアでも力の差は歴然?何も変わっていない日本代表
今回のキリンカップ決勝で戦ったボスニア・ヘルツェゴビナは、2014年のワールドカップブラジル大会にも出場しており、FIFAランクでも上位に位置する欧州の強豪国の一つです。
(出典:http://news-soccer.net/site/100/236225.html)
しかし、今回参加しているメンバーはサブ組が中心となっています。
日本代表も、香川、本田という中心選手を欠いたとは言え、現時点でハリルホジッチ監督が考えるベストメンバーといってもよいスタメンではありました。
しかし、ブルガリアとは違い、親善ではなく戦うモードだったボスニア・ヘルツェゴビナに、日本は力が及びませんでした。
ボスニア・ヘルツェゴビナの選手達は、この決勝戦では時差ぼけもなければ、準決勝から中4日と、コンディションを上げるのにギリギリの時間が得られたことで、アウエーで勝利を手にするために戦っていました。
それに比べて日本の選手達は、ブルガリアを圧倒したことで、自分たちは欧州勢とも充分戦えるとでも勘違いしたのでしょうか?
今回のボスニア・ヘルツェゴビナ戦を見ていると、またしても2014年のワールドカップ直前の舞い上がった日本代表を見ているようでした。
繰り返される工夫のない攻撃と守備がアジア最終予選に向けて修正なるか?
サブメンバー中心のボスニア・ヘルツェゴビナでも、日本代表との力の差が露呈してしまった格好の本大会。
(出典:http://mainichi.jp/graphs/20160607/hpj/00m/050/001000g/17)
次に代表メンバーが集まるのは、9月のアジア最終予選です。
今回の結果を受けて、出来ることならば、欧州遠征をしてでも、もう1〜2試合は欧州のチームと厳しい試合を組んで欲しいものです。
正直、景気づけの試合なんてもう日本代表にはいらないように思います。
勝って当たり前の試合で勝利し気が緩み、その後は力の差を見せつけられ敗戦というパターンを今の本田、香川、長友といったメンバーが中心の日本代表では何度もみてきました。
アジアの他国が力を付けて行く中、もういい加減、日本代表もやり方を変えるべきでしょう。
ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でも単調な攻撃を繰り返し、後半のカウンターを仕掛けるような場面では、疲れから後ろからの押上は遅れ、コーナーからのセットプレーでは、高さで叶うはずのない相手にハイボール勝負を繰り返す。
ハリルホジッチ監督がそれを許しているのも問題ですが、選手自身にイマジネーションが足りなかったのは確かです。
ボスニア・ヘルツェゴビナ選手達は、スタミナ的に厳しい場面でも、ここぞというときの前えと仕掛けていく集中力は、サブメンバー中心とは言え、欧州の強豪の名に恥じないものがありました。
守備においても、後ろ向きでの対応で、吉田が何度も相手に置いて行かれるなど、サイドバックや中盤の選手のフォローも遅れ気味で、相手にプレッシャーをかけられない場面が何度もありました。
足元のボールを落ち着かせる技術やキープ力でも差があった今回の試合。
ブルガリア戦の7ゴールで浮き足立った日本代表の選手達には良い薬になったと願いたいものです。
そして、最後に言いたいのはFWの浅野選手。
(出典:http://mainichi.jp/graphs/20160607/hpj/00m/050/001000g/13)
フル代表での初先発となったこの試合で、試合終了直後に敗戦の悔しさから涙しているようでした。
サンデーモーニングの張りさんではありませんが、「喝だ!!」と言わずにはいられません。
自慢のスピードを活かす場面は少なく、しかも試合終盤の同点のチャンスの場面では、それまで俺が決めてやるくらいの勢いでシュートを打っていたはずが、ゴール前のシュートチャンスでまさかの横パス。
この場面では、相手のキーパーが前に飛び出し、右側に流し込めばゴールがかなりの確立で決まる場面でした。
しかし、パスを選択した浅野選手。
それまでは、ゴール前でパスを要求されても自らシュートを放っていたにも関わらず、最後の最後に迎えたビッグチャンスで、まさかのパス選択には驚きました。
試合後の涙と併せ、浅野選手のメンタルの弱さを感じた場面でした。
大きなチャンスを迎えたときにどれだけ冷静でいられるか?
こういう場面での決定力の低さはこれまで通りの日本代表と言わざる得ません。
特に朝の選手は期待が高いだけに、まずメンタルの強化を願いたいところです。
しかしそれでも、香川や本田、長友といった選手を脅かす選手達が出てこなければ、ワールドカップ本大会どころではないのも事実。
アジア最終予選に向けて、ハリルホジッチ監督はどう動くのか?
その手腕に期待したいところです。