7月7日(日)に香川真司の凱旋ゲームとなる、川崎フロンターレ対ドルトムントの一戦。
試合は、香川真司の2ゴールを含む、6対0という大差でドルトムントが快勝しました。
決して接待ゲームとは思えない力の差を見せつけられることとなった川崎フロンターレですが、試合後にMFの中村憲剛が、この一戦について語りました。
Jリーグと欧州トップリーグの差を見せつけられた?
川崎フロンターレの中村憲剛選手は、ドルトムント戦について完敗となってしまったことについては悔しいとしながらも、「もう5年くらい前に体感したかった」と口にしました。
その理由は明らかで、Jリーグとは別次元瞬間的なスピードや正確なトラップなど、根本的な技術の高さを実感することになったからです。
相手の嫌がるところにボールを出すのは当たり前で、スペースを作る上手さや入り込むタイミングなど、自然そういうプレーを見せるドルトムントの選手たちに、驚きと悔しさを隠せませんでした。
中村憲剛は、「今日は眠れないです。もう1回試合を見ます」とも語りました。
そこには、試合の勝ち負けでは計れないものを、この親善試合で実感したということなのでしょう。
日本人で欧州に最も適合した中田英寿の凄さ
いまでこそ、日本代表に選ばれる選手の多くが欧州でプレーしていることも当たり前の光景になってきましたが、Jリーグと欧州主要リーグの力の差はあまり縮まっていないというのが正直なところです。
そんな中で、早くからプレーの基準を欧州に合わせていたのは、間違いなく中田英寿氏でしょう。
高校時代から周りと比べ明らかに高いスキルを持ち合わせたMFに、当時のJリーグ12チーム中、11チームが、中田英寿にオファーを出しました。
その中から複数のチームの練習に参加した結果、ベルマーレ平塚に入団し、トップ下のポジションを手に入れると、その後は、オリンピックでのブラジル戦、いわゆる「マイアミの奇跡」は印象的です。
ただ、中田英寿氏にとっては、ブラジルといえども対等に戦えると感じており、その後のナイジェリア戦で、攻撃について意見を出したことで、当時の西野監督に叱責され、レギュラーから外されたエピソードは有名です。
その後、イタリアセリエAのペルージャと移籍しますが、当時はジャパンマネー目当ての色合いも若干ある中での移籍だったため、中田英寿を色眼鏡で見ている、チームメイトやメディアも少なからずいました。
しかし、中田英寿は開幕戦で、優秀候補のユヴェントス相手に2ゴールを奪う活躍を見せ、客寄せパンダでないことを証明しました。
ローマに移籍した際には日本人初となるスクテッド(リーグ制覇)を成し遂げました。
中田英寿のフィジカルとスピード
中田英寿氏と言えば、やはりそのフィジカルの強さが印象的です。
タックルされれば相手をはじき飛ばし、ユニフォームを引っ張られてもちょっとやそっとでは倒れないボディバランスは、それまでの日本人選手にはないものでした。
単に倒れるのが嫌いだったのかもしれませんが、中田英寿が倒れるときは明らかにファールを受けた時でした。
いわゆるシミュレーションといったたぐいのことは絶対にしない選手でした。
そのため、フィジカルの強さが目立つ中田英寿氏ですが、日本代表では、そのパススピードの早さがチーム内外で物議を醸した事もありました。
彼のパスは、他の選手に比べかなり早いスピードで出されます。
そのため、受けての選手が追いつけないことも度々ありました。
多くの日本の選手は、相手の足元にほどよいスピードで受けやすいボール出します。
しかしそれでは、欧州や南米のトップレベル相手には通用しないことを、各年代の代表で世界と戦って感じた中田英寿は、スピードを上げる必要があると感じていました。
そのあたりのせめぎ合いが、チームメイトとの軋轢を招いたり、マスコミには、身勝手なパスと叩かれることも少なからずありました。
ただ、結果的には、日本が世界の舞台に立てば立つ程、欧州や南米の選手とのあらゆるスピードの違いを常に実感する事態となっています。
パスに限らず、動作や判断の早さもずば抜けていたパサーという印象が強い中田英寿氏ですが、ドリブルやフリーランニングに置いても、実はかなりスピードがありました。
世界と戦う術を早くから身につけていた中田英寿。
今の日本代表を見ていて、改めて中田英寿の凄さを口にするサッカーファンも少なくありませんが、彼のような選手はまだまだ登場しそうにないように思えてしまうのが残念ではあります。
ここで、彼の現役時代のプレーYouTubeより御紹介致します。
中田英寿氏もいつのまにか38歳です。
2006年の引退から早9年。
リアルタイムで彼のプレーを見た事のない世代も、今後登場してくきてもおかしくない時代です。
今回の、川崎フロンターレとドルトムントの一戦を、ただの接待試合と見るか?
中村憲剛が語った現実を踏まえて、日本サッカーが歩みを進めるのか?
どう捉えるかで、今後の日本サッカーのレベルアップのスピードも変ってくるのではないでしょうか・・・。