開催中の「EURO2016予選」で、本大会の優勝候補の一角と目されていたはずのオランダが危機的な状態に陥っています。
先だってのアイスランドとの一戦に破れ、グループA3位と順位は変らず、プレーオフに回る可能性が高まったオランダ。
しかし、絶対に落とせないトルコとの一戦にも3対0で破れ、プレーオフ進出すら困難な状況となりました。
残り2試合となった予選において、自動的に本大会出場が決まるグループでの2位以内は、すでに消滅しているオランダ。
※1位のチェコが勝ち点19、2位のアイスランドが勝ち点18で、オランダは勝ち点10のため。
プレーオフ進出で本大会出場へ望みを繋ぎたかった、アウエーでのトルコとの試合は、厳しい結果となってしまいました。
名将に迷いが生じた?ヒディングのチーム改革は進まず
本大会出場は当たり前で、優勝候補ですらあったオランダが、予選で3勝4敗1分と低迷するとは誰が想像できたでしょうか・・・。
昨年2014年のワールドカップブラジル大会では、開催国のブラジルを破って3位をなったオランダ。
自慢の攻撃は、大会を大いに盛り上げてくれました。
当時の監督、ファンハールが退任後に就任したのが、名将、フース・ヒディング監督。
しかし、蓋を開けてみれば、EURO2016予選で苦戦が続き、6月には、オランダサッカー連盟が、早々にヒディング監督に見切りをつけ解任しました。
確かに、ワールドカップ以降は、5試合で4敗という低迷が続いたオランダ代表。
そして、悪い流れのまま突入したEURO2016予選でも、結果が出せず、地力での本大会への出場は危機的な状況となりました。
なぜ、優勝候補の一角であったオランダが、ここまで苦しんでいるのでしょうか?
そもそも、名将と称されるヒディング監督が、招集したメンバーやフォーメーションを早々に固めることが出来なかったように思います。
その上、司令塔として長く代表に君臨する、スナイデルのコンディションも上がらず、ヒディング監督の戦術にも、彼をどう使うか模索している様子が伺えました。
そして、ベテランが中心の攻撃陣に対し、DFにおいては積極的に若手を選択したヒディング監督。
このあたりのバランスが、思った以上に崩れている印象を与える試合もありました。
その上、負ければ自ら辞任を約束していた、EURO2016予選のラトビア戦では、急場凌ぎと思われてもおかしくない、ファンペルシのトップ下を急遽取り入れました。
試合の方は、6対0で圧勝し、その場は事なきを得ましたが、ヒディングらしからぬ落ち着きのなさに、徐々にチームはバランスを失って行ったのかもしれません・・・。
そもそも、昨年W杯までファンハール率いたチームと比べて、好守のバランスの悪さが目についたとされる、ヒディングの選手選考。
急なファンハールカラーの一層?と思えなくもない、ポジションごとの選手選択も、しっくりこない印象でしたが、それがそのまま試合の現れているようでもありました。
その場しのぎ感のあるブリント監督でさらに混迷を深める?
ヒディング監督の電撃解任後は、アシスタントコーチのブリントが急遽監督の座に収まりましたが、選手起用もバランスが良いとは言えず、またそこでチームは混乱をし、しかもその状況を修正出来るだけのスタッフが、今のオランダ代表に準備されているとはとても言えない状況にあります。
かつてのスタープレイヤー、ファンニステルローイやファンバステンも、指導者としては、あまりにも未知数な面もあり、急造監督と相まって、選手モチベーションも上がる気配は感じられません。
その上、攻撃を牽引するロッペンが負傷でリタイアというアクシデントも重なり、チーム状態はより深刻なものになってしまったオランダ代表。
予選残り2試合を背水の陣で挑むことは言うまでもありませんが、そこでの結果に関わらず、強いオランダ代表の復活には、今暫く時間を要するのではないでしょうか・・・。